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📊 McKinsey年次調査 - AIエージェント時代の到来 | 2025年11月12日

🎯 The State of AI 2025

PoC乱立から本格スケールへ - 高成果企業6%の戦略パターン

🎯 調査のエッセンス

McKinseyの年次サーベイ「The state of AI in 2025」(2025年11月5日公開)は、生成AIエージェントの実験が広がる一方、全社スケールはまだ初期段階という現状を整理。高成果企業(約6%)は"効率"だけでなく成長・イノベーションも狙い、業務フローの再設計投資拡大で価値を獲得しています。

📊 主要統計 - 数字で見るAI導入の現状

88% 少なくとも1機能でAI利用
約1/3 全社スケール到達企業
62% エージェントを実験中
23% 部門でスケール展開中
39% 企業全体のEBIT寄与を報告
約6% 高成果企業の割合

📈 AI活用の拡大 - 昨年からの進展

💡 裾野の広がり

今年の調査結果を昨年以前の動向と比べると、AI活用の裾野が着実に広がっている点が顕著です。回答者の3社に2社以上が「自社は2つ以上の機能でAIを活用中」と回答(うち半数は3つ以上の機能で活用)。

業種別AI導入率の変化

💻
IT・ハイテク業界
従来から突出して高かった導入率を維持。約90%が複数機能でAI活用
📺
メディア・通信
横並びで90%近い導入率に到達。非テック業界への浸透
🏥
医療・ヘルスケア
エージェント活用で突出した進展。対話型問診支援や医療文書の自動要約が実用化
🏦
保険業界
リスク評価とカスタマーサービスでAI活用が加速

機能別AI活用の新トレンド

💼
IT部門(従来トップ)
サービスデスク業務、社内問い合わせ対応などで継続的に高活用
📣
マーケティング(従来トップ)
コンテンツ生成、顧客分析で引き続き高い活用率
📚
ナレッジ管理(新トップ)
今年新たにトップクラスに浮上。生成AIによる文書要約や情報検索などの用途が急速に拡大

🤖 生成AIエージェントの台頭 - 新たな注目ポイント

🚀 AIエージェントとは?

生成AIなど基盤モデルを用いて現実世界で複数ステップのタスクを計画・実行できるシステム。従来の単機能AIを超え、自律的に業務フローをこなす次世代型AIとして、各社が実験を始めています。

62% 少なくとも試験運用中
23% 特定部門でスケール導入
<10% 全社的にスケール導入
💡 現状評価

1年前には「AIエージェント」という言葉自体が一般企業の会話に上ることは稀でした。しかし今や半数以上が何らかの形で関心を寄せるまでになっています。もっとも、エージェント導入は現時点では局所的で、「興味は高いが、まだ手探り」という段階です。

エージェント活用が進む領域

領域 活用例 進展状況
IT部門 サービスデスク業務、社内問い合わせ対応、システム監視・トラブルシューティング 突出して高い活用率
ナレッジ管理 社内ナレッジの高度検索・要約、文書分類・整理 突出して高い活用率
医療・ヘルスケア 対話型の問診支援、医療文書の自動要約、診察記録作成(Kaiser Permanenteが全病院展開完了) 意外にも突出。明確なユースケースの登場で関心急上昇
ハイテク業界 製品開発支援、コーディング支援、技術サポート 従来から高い活用度を維持

🏆 高成果企業に見る戦略の変化 - 6%の共通項

🎯 高成果企業とは?

自社のAI活用で顕著な成果(収益貢献や効率向上)を上げているごく一部の企業。その割合は全体の約6%程度と推測されますが、このトップ層の戦略には昨年までとは異なる特徴が見られます。

🎯
目的設定の違い
「効率化」だけでなく「成長・イノベーション」を明確に掲げる。他社では8割が効率改善を目標に挙げる一方、高成果企業は売上拡大や新規事業創出も目指す
🔄
業務フローの刷新
AI導入にあたり既存プロセスを前提にせずゼロベースでワークフローを再設計。半数が「AIでビジネスを変革する意図」を掲げ、大半が業務のやり方を根本から見直し
💰
投資の厚み
3社に1社超が「デジタル予算の20%以上」をAI関連に充当。人材・データ基盤・MLOpsなどへの先行投資や全社スケーリングのための十分なリソース配分
📊
成果指標の多様化
効率指標だけでなく革新や成長を測るKPIを設定。顧客満足度向上(約50%)、競争優位性強化、イノベーション促進(64%)を報告

成果企業 vs 平均企業の比較

項目 高成果企業(約6%) 平均企業
導入目的 効率化 + 成長・イノベーション 効率化が中心(80%)
業務フロー ゼロベースで再設計(半数が変革意図) 既存フローに付け足し
AI投資比率 デジタル予算の20%以上(3社に1社超) 限定的な投資
EBIT寄与報告 高い割合で全社レベルの利益貢献を報告 約39%が報告
イノベーション効果 顧客満足・差別化・収益性の全社便益を報告 64%がイノベーション促進を実感

👥 人材・組織への影響 - 予測の変化

32% 「来年は従業員数が減る」
13% 「来年は従業員数が増える」
43% 「影響なし(横ばい)」
⚠️ 注目すべき変化

過去1年間にAI導入で各部門の人員が実際に大幅減少したとの報告は中央値で17%程度でしたが、今後1年ではその割合が30%に跳ね上がっています。つまり「この1年で大きな人員削減は起きなかったが、来年は起こり得る」と構える企業が増えたわけです。

変化の両面性

📉
不要になる仕事
定型業務の自動化により、従来の役割が縮小。生成AIの台頭で白袖職(ホワイトカラー)の生産性革命が現実味を帯びる
📈
新たに必要になる仕事
多くの企業がAI関連の新たな役割で人材採用を進行中。データサイエンティスト、MLOpsエンジニア、AI倫理専門家など
🔄
移行期の現状
「不要になる仕事」と「新たに必要になる仕事」の両方が生まれている移行期。従業員の役割再定義やスキル再訓練が本格的に必要

⚠️ AIリスク対策の強化と課題

平均4項目 企業が対処しているAIリスク数(2022年は2項目)
51% 何らかの負の影響を経験済み
約1/3 「AIの不正確さ」問題を経験

主要なAIリスクと対策状況

リスク分野 具体的な問題 対策状況
AIの不正確さ 生成AIの誤回答や幻覚(ハルシネーション)による意思決定ミス 最も経験しやすいリスク。検証プロセス設置、人間レビュー体制の構築など対策が最も進む
データプライバシー保護 個人情報の不適切な取り扱い、データ漏洩 対策が進展中。アクセス制御、暗号化、匿名化処理など
説明可能性の欠如 AIの判断根拠がブラックボックスになる問題 手当が追いついていない。高度な生成モデルゆえに内部挙動の説明が難しく、継続的な課題
規制遵守 各国のAI規制への対応、コンプライアンス 対策が進展中。法務部門との連携強化
📈 リスク管理の進化

2023年に生成系AIが一気に広まり現場レベルでのトラブル事例も増えたことから、企業が慌ててガバナンスを整備し始めた結果、対処項目数が倍増しました。社内ポリシーで生成AIの検証プロセスを設けたり、人間が必ずレビューする体制を敷いたりといった動きが広がっています。

✨ 何が新しいか - 過去との比較で見る変化

🌐
ほぼ全企業がAI導入期に
利用企業は急増しAI活用は当たり前に。しかし全社的な利益貢献は限定的(4割弱)で、ほとんどの企業は引き続きパイロットの壁を越えられていない
🤖
AIエージェントの台頭
昨年まで議論の少なかった自律型のAIエージェントが、今年一気に脚光。生成AIが単なる文章生成から実行型AIへ進化しつつあることを示す
🎯
価値創出アプローチの転換
過去はAI=効率化が主目的だったが、成長・革新を狙う企業こそが真のROIを得ていることが判明。単なるコスト削減ツールではなく、競争優位構築のエンジンへ
👥
「AI時代の働き方」への備え
これまで漠然としていた不安や期待が、具体的に人員構成が変わる前提での計画へ。従業員の役割再定義やスキル再訓練が本格化
🔒
ガバナンス強化
後手に回りがちだったAIリスク対策が、この1年で大幅に前進(平均2項目→4項目)。とはいえ発生しうるリスクは完全には防げず、継続的課題
📚
ナレッジ管理の躍進
過去8年間の調査で常にトップだった「IT部門」「マーケティング」に加え、「ナレッジ管理」が新たにトップクラスに浮上。社内知識管理への生成AI活用が急拡大

🚀 企業が取るべき次のステップ - 実務的含意

🎯 現在地の認識

今はちょうど「PoC乱立から本格スケールへの過渡期」。この局面を突破するには、過去の延長線上ではなく高成果企業の動きを手本にした戦略転換が近道です。

高成果企業の成功パターン - 4つの実行ステップ

1️⃣
エージェントユースケース選定
自社にとってインパクトの大きい生成AIエージェントのユースケースを選定。まずはITサポートや社内知識管理など効果検証しやすい領域から着手
2️⃣
目的とKPIの再定義
効率指標だけでなく革新や成長を測るKPIを設定してAI活用の目的を再定義。顧客満足、競争差別化、新規事業創出などの指標を含める
3️⃣
業務フロー再設計
AI前提で業務フローを根本的にデザインし直す。属人的プロセスを見直し、自動化・高度化しうる余地を洗い出す。既存フローへの付け足しでは不十分
4️⃣
集中的投資の実行
必要な人材育成・データ基盤整備・MLOpsやガバナンスへの投資を惜しまない。デジタル予算の20%以上をAI関連に充てる覚悟

業界別の着目ポイント

業界 優先アクション 期待される効果
IT・ハイテク エージェント型開発支援、コード生成・レビュー自動化、技術サポートの高度化 開発速度の劇的向上、品質の標準化
医療・ヘルスケア 対話型問診支援、医療文書の自動要約、診察記録作成の自動化 医師の負担軽減、診療の質向上、患者満足度向上
金融・保険 リスク評価の高度化、カスタマーサービスの自動化、不正検知 審査精度の向上、顧客体験の改善、コンプライアンス強化
メディア・通信 コンテンツ生成の効率化、パーソナライゼーション、顧客分析 制作コストの削減、エンゲージメント向上
製造業 予知保全、品質管理の自動化、サプライチェーン最適化 ダウンタイム削減、不良率の低減、在庫最適化

✨ まとめ - 実験段階から本格活用への過渡期

🎯 キーメッセージ

McKinseyの2025年AI調査が示す最大の洞察は、「AIは使っているが価値の大半はこれから」という現状です。88%の企業がAIを利用し、62%がエージェントを実験中ですが、真の価値実現に到達しているのはごく一部(約6%)に過ぎません。

成功への方程式

🎯
目的の格上げ
効率化だけでなく、成長・イノベーションを目的に含める
🔄
フローの再設計
既存プロセスへの付け足しではなく、ゼロベースでワークフローを刷新
💰
大胆な投資
デジタル予算の20%以上をAI関連に充て、人材・基盤・ガバナンスに集中投資
📊
多面的KPI
効率だけでなく、顧客満足・差別化・イノベーションを測定
🚀 今後の展望

過去のニュースで描かれた「AI革命」を現実のものとするために、今こそ発想と組織を変革し、AIを全社的な価値創造のエンジンへ昇華させるときです。高成果企業の行動様式(目的設定・再設計・投資)を逆算テンプレートとして採り込むのが成功への近道です。

📚 ソース・参考情報

🌐 主要出典

📊 補足情報

📊 情報の信頼性

本スライドの内容は、McKinsey社の公式年次調査レポート「The State of AI 2025」(2025年11月5日公開)に基づいています。数値・記述は当該レポートの要約ページおよび関連公式記事から抜粋しています。業種別・機能別の詳細図表はレポート本体を参照することを推奨します。

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